2012-10-29
「ある日の、ある相談」~地域生活定着支援センターとは?

 忘れもしません、平成24年6月20日11時、「大分県地域生活定着支援センター」のセンター長と名乗る方から一本の電話をいただきました。

施設サービス利用の相談でした。「九州のある矯正施設にいるMさんという方が退院となるのだが、高次脳機能障害で知的障害があり、半身麻痺もあるためどこにも行き先が無い。ホームページに触法の障害者支援をされているという記述があり、藁をもつかむ気持ちで電話をした。」という内容でした。

今回、大分県地域生活定着支援センターからのMさんの情報を得て施設内で受け入れの検討会議を開き、N市にある施設へと足を運び、院内でMさんご本人と面談をしました。
ご本人からの聴取や刑務官の方々からの聴取、及びセンターからの情報提供により「ご本人の障害特性を周囲が理解できないために、環境が罪を犯させてしまった。」と理解。
更にMさんご本人の人柄の良さ、前向きな姿勢を勘案し、「ケアホーム月あかり」での受け入れを決定いたしました。
入居当日、大分県のセンターから甲斐センター長、濱水相談員、そこに北海道地域生活定着支援センターの野村センター長を加え、Mさんの今後に向けたカンファレンスを行いました。それぞれの立場で皆がMさんにとって一番いい支援体制を構築することを目指し、今後も連携していこうと団結いたしました。

出身は愛知県であるにも関わらず、九州の矯正施設に入らなければならず、更に近郊では適切な福祉サービスと繋がることができなかったため、札幌にまで救いの手を求めざるを得ない現状にショックを受けましたが、我々の使命として「より障害の重い方、より困っている方を優先して受け入れる。」という姿勢がMさんの将来を、そして人生を変える事ができたのだと自信を持っています。

今後も私たち『札幌光の森学園』は、各行政機関、福祉機関と連携し、地域で困っている障害者の方々、ご家族の方々に寄り添った運営をしていきます。(鍋嶋)

※ 『地域生活定着支援センター』とは…これまで矯正施設を退所した高齢者や障害者の中には、地域社会に復帰するための支援と上手く繋がらず、自立した生活に困難をきたしたために再び罪を犯し矯正施設に戻る事態が少なくありませんでした。そこで、保護観察所と協働しながら、そうした方々が地域での生活を歩みだすために、必要な福祉サービス等が受けられるよう支援を行うことにより、再犯防止に繋げ、地域の中で安心して暮らせるように支援をする機関です。

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